妄想名言帖 〜過去集積〜



2003年10月



三つのマッチを一つ一つ擦る 夜のなか
はじめは君の顔をいちどきに見るため 
つぎのは君の目を見るため
最後のは君の唇を見るため
残りの暗闇は今のすべてを思い出すため
君を抱きしめながら
ジャック・プレヴェール
「夜のパリ」



君よ知るやかの国を
レモンの花の咲く国を
……
彼方へ 彼方へ わが恋人よ、
いざや君とともに行かなむ。
ゲーテ
「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」より
ミニヨンの歌




彼女は眉をひそめるかわりに微笑した。
泣き伏す代りに端然と坐った。
あたかもその坐っている席の下からわが足の腐れるのを
待つかの如くに。
夏目漱石「行人」より



 山本山<4884>記念リク 〜七条飛白様
 「左之助、やりたいけどそんな雰囲気ではない」

とそれならぬ、姉様(あねさん)が、
山賊の手に松葉燻しの、
乱るる、揺めく、黒髪までが、目前(めさき)にちらつく。
泉鏡花
「国貞ゑがく」より



いいえ昨日はありません
今日を打つのは今日の時計
昨日の時計はありません
今日を打つのは今日の時計
三好達治
「昨日はどこにも
ありません」



また朝がきて ぼくは生きていた 谷川俊太郎「朝」



梓弓引きて弛べぬ丈夫(ますらを)や 恋とふものを忍びかねてむ
詠人知らず 万葉集

<七条飛白様>




今さら日数なんて数えて何になりますか。
人間が幸福を知り尽くすには、一日あれば十分ですよ。
ドストエフスキー
「カラマーゾフの兄弟」より








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